こどもとこどもから生まれる変わる力
スタッフを見つけるとお尻やお尻周りをすかさずタッチしてしまう来るお子さんL君がいました。
でも、このタッチのいくつかは、どうしても衝動性で片付けられないのです。それは、上手く表現できないのですが、タッチされる側は、今、来そう!と直感的に感じられる間があり、防ごうと思えば、防ぐことができるかどうかの時間があるのです。
スタッフと話合う中で、「衝動性で手持ち無沙汰タッチ」と、「本当はスタッフと話がしたいタッチ」と、「何かの気持ちの現れのタッチ」が一つの表現で行われているのではないかという事になりました。そこで、全スタッフ、名刺サイズのネームフォルダをズボンのベルト付近に装着し、あるカードをそこに差し込みました。
カードには「さわる と たいほ されます」「せんせい と いって おはなし を しましょう」と絵入りで書かれています。
初日は、タッチされる度に絵カードを読み上げていました。
2日目、その日の初めてのタッチ時にスタッフがカードを読み上げていると、1人の友だちが「僕知ってんで、おまた触ったら、逮捕されるから、やったらあかんねんで。」と冷めた表情で言う場面が。
ここから、L君の表情は、まじか俺、気を付けなあかんやん。というような引き締まった表情に。
すると、その日のうちに、普段のタイミングなら接近と同時に触りそうな瞬間に、「せんせい、ちょっと話があるねん」とバッチリな声かけ。すかさず、「どしたん、なにがあったん?」「あと、ちゃんと上手にせんせいって、声かけてくれてめちゃくちゃ、先生嬉しいわ」とL君のやり取りが上手である事を伝えていきました。
そこからは、タッチしそうになるけど、おっと、やめとこ!っという場面がちょこちょこ増えてきて、劇敵にタッチが減っていきました。
絵カードとスタッフの関わりが効果的であったのかもしれませんが、それよりも友だちの冷めた表情での注意から意識を変えたのは明白でした。こども達全体がそういう意識になってきたからこそ、本人も変わりたい、変えようという動きが出たのだと思います。
これは、大人がなんべん言っても伝えきれない、雰囲気だったり、こどもたちの連鎖の力だなって思ったやりとりでした。