「COCO育」、「たっち」へようこそ!!

はじめに

はじめに


私は、学生から福祉を先行し、福祉関連の職場しか経験していない福祉バカである。そんな私は、福祉について一通り学んできた先に、今のCOCO育やたっちがある。

学生の頃は、「利用者本位」、「QOLの向上」、「ノーマライゼーション」を学び、その言葉を信じて、知的障害者の入所施設で実践してきた。障がいのある彼らの特質を配慮し、安全で安心な環境を提供しつつ、生きがいと楽しみのある生活を提供することに重きをおいて関わっていた。しかし、ある時、衝撃の映像を見て、価値観が崩れていった。それは、Kさんの10年前の発達テストの映像だった。その当時では考えられない程の課題を、難なく取り組むことが出来ていた。そして、今のKさんに同じ課題を取組ませても、全く出来なくなっていた。それは、単に忘れたというのとは違う、「考える事をやめてしまった」という様子だった。それは、施設の中で、大切にしている常に彼らの身の丈よりも手厚いサービスを続けていく行末がもたらせた、悲劇だった。

この事実を知った時に出会ったのが、トモニ療育センターの河島淳子先生だった。当時の私は、トモニの考え方が嫌いだった。愛だの、代弁者だの、知識だの、綺麗ごとばかり並べられたって、こちらも人間だし、仕事の一環でしているのだから、重たいと批判的だった。先生ともこの事で、討議することもあった。
そんな折、時代が変わってきて、「障害者自立支援法」というものが出来た。施設においても、何らかの作業が求められる時代に変わってきた。私は、業務命令で、知的、自閉傾向ともに最重度の4名と中度1名の5名で作業をやることとなった。そんな彼らに関わる方法は、何か毎日同じ内容の役割を与え続ける方法だけだった。そして、そんなテクニックも持っていない私は、疑心暗鬼のもと、トモニ式の関わりのもと継続して、役割と課題を与え続けた。最初は、ズタボロだった。最重度の4人の1人に指導をしていると、残り3人は、その場から興味ある所に消え、彼らをその場に留めておくことだけでも大変だった。それが、毎日毎日、繰り返し行っている時に、彼らの動きが変わり、彼らに対する、他の職員からの声掛けが変わり、彼らの表情が変わっていった。そこで、河島先生の実践や言われていた事は、案外間違えでな いかもと思うようになり、取組方が変わっていった。

そして、施設で入浴指導をして、洗ってもらう対象だった彼らが自分で洗う対象に指導し、施設のカギを取り、一人の人間としての尊厳を取り戻せるように、生活の幅を広げる事に努めた。その効果は、絶大だった。止まっていた時計が動き出すというか、一人ひとりの表情や個性が、出てくるようになった。
だが、最終的に華やかな施設経営に、経営者が舵をきるようになって、彼らの生活よりも施設の展望ばかりが主になってしまい、私は施設を辞めた。


同時に、このよく分からない自閉症の人たちと真剣に関わる為には、知識を手に入れなければと、大学に通い、教育としての障がいについて学んだ。
また、ケアマネをしながら、高齢者から生きる意味、生きている時の最終目標とは何かという事を教えてもらおうと努力した。そして、おばあちゃんからもらった「有難いことに忙しくさせてもらっています。」という言葉でハッとさせられた。それは、福祉=「助ける」では無く、福祉=「役割がある→人生の質が良くなる→自分らしく生きられる」だった。必要な支援は「してあげる」では、やはりなかった。


また、日本理化学研究所の会長 大山 泰弘氏は「導師は人間の究極の幸せは人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること の4つと言われました。働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う。」
にもあるように、働くこと(自分の責任ある役割があること)が彼らに必要と考えるようになった。

大学で並行して、学んできたことの中に、障がい者差別を学んでいた。そこで、差別の無い社会など存在しない事を知った。「私たちは、差別行動を発生させながら生活している。差別しないことはありえない。人が人として生きている限り、差別を起き続けている。私自身の自己肯定感を得ようとすれば、自分を正当化しようとすれば、その分、誰かを差別していることになる。そして、その分誰かが差別され悲しく辛い思いをしていることになる。」
これが、本当の社会であり、福祉で学んだ理想社会の現実は、不可能である事を知った。

そこで、COCO育が生まれ、たっちが生まれた。障がいのある人たちが、この社会で生きる為に必要なものを、子どものうちから伝え、学び、導いて、成長することが必要なのだ。その先に、この社会の中でも、自分らしく逞しく、生きていける生活が、存在すると私は考えている。

合同会社コスモ

代表社員 谷部 有彦